電子回路の設計において、部品の特性のバラつき方を統計的に考えて、部品コストを削減しようという動きが広まっている。「規格から外れる可能性もあるため検査工程は必要となるが、ムダに高品質な部品を使ったり、調整工程を加えたりするよりはコストを低くできる」〔プラーナー(本社長野県・下諏訪町)シニアコンサルタントの須藤清人氏〕。

 須藤氏は、電子機器の低電圧化によってニーズが増している電源回路の設計者向けセミナーの講師を務める。そのカリキュラムの中に、回路設計における公差設計の進め方も盛り込んでいる。「部品の価格と公差の関係は変化しており、公差設計の意味が出てきている」(同氏)という。

 メーカー側でも、電子回路の公差設計に対する注目度は増しているようだ。これまでは、特性の中心値と最悪値を使って計算していることが多かったというあるメーカーの技術者は、「統計的な検討は、抵抗値や静電容量、インダクタンスなどの許容差を含むアナログ回路の検討に適している」と期待を寄せる。正確な公差設計ができれば、利用価値は高い。

〔以下、日経ものづくり2011年11月号に掲載〕