雑誌 特集

まだAndroidでいきますか

佐伯 真也、中道 理、Phil Keys、内田 泰=日経エレクトロニクス
2011/09/30 09:00
 

第1部<変質するAndroid>
脅かされる“無償”と“自由”
戦略を持ってGoogleと付き合う

Google社の「Android」を採用した機器の市場が急拡大している。ところが、機器開発の現場からはAndroidの変質を叫ぶ声が聞こえてくる。本当にこのままでいいのか。いま一度、Android戦略を見直す時が来ている。

Androidの課題や問題が顕在化

 「オープン(自由)なソフトウエア・プラットフォームを無償で提供する」(米Google社 Mobile, Senior Vice PresidentのAndy Rubin氏)──。

 こうしたうたい文句を掲げ、Google社がデジタル機器向けのソフトウエア・プラットフォーム「Android」を発表してから、はや4年。Androidを搭載する機器はスマートフォンを中心に、順調に普及が進んでいる。米Gartner社の調査によれば、2011年第2四半期におけるAndroid搭載スマートフォンの世界市場シェアは43.4%に達し、ソフトウエア・プラットフォーム別で首位に立った。

 今後、タブレット端末やテレビ、カーナビなどインターネットに接続するデジタル機器では、Androidの搭載はさらに拡大していく見込みだ。

雰囲気は様変わり

 ところが、Androidの使い手である機器メーカーの開発現場は、幾つかの課題や問題に直面している。端的に言えば、Androidの大きな魅力だった“無償”と“自由”という二つの特徴が脅かされているのだ。「発表当時、Google社はAndroidを自由にどんどん使ってくださいという雰囲気だった。それが様変わりした印象は否めない」と、ある機器メーカーの技術者は本音を漏らす。

 パソコンの開発を手掛けている機器メーカーは、基幹部品を握る米Microsoft社や米Intel社の“支配”に、長年苦慮してきた。そこに自由なイメージを持つGoogle社が登場し、完成度の高いプラットフォームを提供し始めた。メーカーの技術者からすれば、「Windows」と違って無償で使えるし、オープンソースなのでソース・コードの改変も可能、という“救世主”のような存在に映った。それが今、変質しているというのだ。

 さらに、韓国や中国のメーカーと比較してコスト競争力で劣る国内メーカーにとっては、「Androidではハードウエア/ソフトウエアの差異化が難しい」のも大きな課題だ。コストが高い以上、差異化で勝負するしかない国内メーカーは頭を悩ませている。

 「本当にこのままAndroidでいくべきなのか」。Googleブランドに飛びついたメーカーは、自社のAndroid戦略を見直す時期に差し掛かっている。

『日経エレクトロニクス』2011年10月3日号より一部掲載

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第2部<国内メーカーのスマートフォン戦略>
成熟後の市場をにらみ
海外進出を本格始動

海外でも国内でも存在感の薄い国内の携帯電話機メーカーだが、まだ諦めてはいない。いずれ来るAndroid搭載スマートフォンの成熟期を狙って、バリエーションで勝負する。永続的に成功するためには、Apple社をしのぐコスト競争力を手に入れなければならない。

国内携帯電話機メーカーの戦略

 「スマートフォン化の流れが来るのは分かっていたが、そのスピードは予測を超えていた」(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)。国内の携帯電話機メーカーは、市場動向の読みを誤り、Android搭載スマートフォンの開発で出遅れた。この結果、海外の携帯電話市場は言うまでもなく、国内市場でも存在感を失っている。

 とはいえ、国内メーカーに諦めムードはない。「もう一度世界に進出し、大手携帯電話機メーカーの一角を占める」(NECカシオモバイルコミュニケーションズ 事業戦略本部グループマネージャーの國土順一氏)と、世界のスマートフォン市場で巻き返すことを本気で考えている。人口減で国内市場が縮む中、世界でシェアを取らないと、撤退以外に道はないからだ。

 国内メーカー各社が、海外進出のカギを握ると考えているのが、Androidを搭載したスマートフォン市場の成熟化の波である。スマートフォンは約2年で買い替えが進むため、いったん出遅れても次の買い替えタイミングで状況をひっくり返せる。そこに向けて、利用者のニーズに合った製品を投入しようというのだ。

『日経エレクトロニクス』2011年10月3日号より一部掲載

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第3部<海外メーカーのスマートフォン戦略>
先行するSamsungとHTC
独自の成長路線を模索

現在、Androidを搭載したスマートフォンで、市場シェアを二分するSamsung社とHTC社。今後もスマートフォン市場でのシェアを堅持するため、両社は独自の戦略を推し進める。Samsung社は複数のソフトウエア・プラットフォームでの開発、HTC社はUX強化に力を注ぐ。

GALAXYシリーズが業績を牽引

 韓国Samsung Electronics社は、現在、米Google社のソフトウエア・プラットフォーム「Android」を搭載するスマートフォンで、最も成功を収めている企業だ。Samsung社が2010年6月下旬に発売した「GALAXY S」は、販売台数が85日後には300万台、7カ月後には1000万台を突破するなど、全世界で大ヒットとなった。これにより、台湾HTC社など先行メーカーのキャッチアップに成功しただけでなく、落ち込みを見せていたSamsung社のTelecom事業部門の業績回復を果たした。

 さらに、2011年5月下旬には後継機種「GALAXY S II」を市場投入した。発売の30日後に300万台を突破するなど、GALAXY Sを上回るペースで販売台数を伸ばしている。2011年第2四半期のTelecom事業部門の業績は、Semiconductor事業部門に肉薄する営業利益をたたき出している。

 Samsung社のAndroid搭載スマートフォンがヒットを生む理由の一つが、自他共に認めるハードウエア性能の高さだ。最新機種であるGALAXY S IIには、「4.3型の有機ELパネルや最大動作周波数1.2GHzのデュアルコア・プロセサ、下り最大21Mビット/秒のHSPA+など、他社に先駆ける形で最新機能を盛り込みながら、最薄8.9mmという薄型化を実現した」(同社)。スマートフォンの組み立てや、その基幹部品の生産を自社で手掛ける垂直統合モデルの強みが発揮されたといえる。

 Androidを提供するGoogle社とのパートナー関係も強固だ。

『日経エレクトロニクス』2011年10月3日号より一部掲載

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