エンジンの駆動トルクをタイヤに伝える際に重要な役割を果たすのがドライブシャフトだ。タイヤの切れ角やサスペンションが上下に動くことに伴う軸の角度と長さの変化を吸収しつつ、振動が出ないようにする必要がある。今回は、駆動系部品大手のGKNドライブライン ジャパンに最新動向を聞いた。

 乗用車では、等速ジョイントを備えたドライブシャフトでタイヤを駆動する。後輪駆動車ではデファレンシャルギアから左右に伸びる軸がそうで、前輪駆動車では変速機からの軸となる。
 ドライブシャフトの基本機能は、軸の角度が変わっても入力軸と出力軸が等速で回り、振動を出さないことだ。この機能は1927年に発明されたツェッパ型の等速ジョイントから始まる。外輪、内輪の間に保持器でボールを位置決めした構造により、角度に関係なく、入力軸と出力軸の角速度が等しくなる。
 ドライブシャフトに使われる等速ジョイントの働きを、前輪駆動車の例で説明する。二つある等速ジョイントのうちタイヤ側には、操舵時の切れ角とサスペンションの上下動に伴う角度変化を吸収する固定式等速ジョイントが使われることが多い。一方、エンジン側には角度と長さの両方の変化を許容するしゅう動式等速ジョイントが多く使われる(図)。
 現在、固定式ではボール型、しゅう動式では三つ又のトリポード型が主流となっている。ボール型は、外輪と内輪の間に6 個のボールを挟むもの。ボールを挟む溝の形状にも工夫があり、耐久性向上のため溝を山型にし、ツェッパ型を改良したアンギュラ型が多く使われている。

以下、『日経Automotive Technology』2011年11月号に掲載
図 前輪駆動車用のドライブシャフト
タイヤ側には切れ角の大きい固定式等速ジョイント、エンジン側には長さの変化に対応できるしゅう動式等速ジョイントが多く使われる。