自動車に多数搭載されているスイッチングレギュレータ。この電源回路を設計する際に考慮すべきパラメータは多い。負荷の特性に合わせて、パラメータを設定しなければならない。今回は、このパラメータ設定時に注意すべき点を解説する。


 ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)が次々と市場に投入されている。こうした車両の電動化によって、重要度がますます高まっているのが電源回路(電力変換回路)である。前回は、各種の電源回路の特徴を簡単に紹介した。それを受けて今回からは、数回にわたって自動車に比較的多く搭載されている電源回路に焦点を当てて、その詳細を解説する。

 今回取り上げるのは、DC-DCコンバータを実現する方式の一つであるスイッチングレギュレータである。スイッチングレギュレータとは、出力電圧を監視しながらスイッチング素子のオン/オフ時間を制御することで、入力電圧を希望する出力電圧に変換する電気回路である。PWM(Pulse Width Modulation)コントローラとスイッチング素子〔パワーMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)、パワートランジスタなど〕、ダイオード、コンデンサ、インダクタ、抵抗などで構成する。

 自動車におけるスイッチングレギュレータの搭載数は極めて多い。例えば、ECU(電子制御ユニット)に搭載されるマイコンや、FMラジオのレシーバ、カーナビの液晶ディスプレイ、DC(直流)モータなどの駆動で使われている。ただし、スイッチングレギュレータと一口に言っても、電力を供給する負荷によって、求められる性能は異なる。

以下、『日経Automotive Technology』2011年11月号に掲載