英国は次世代の環境車をLCV(Low Carbon Vehicles)と呼び、官民を挙げてその開発と普及に対して積極的に取り組んでいる。2011年9月に開かれたLCVの展示会兼セミナー「LCV 2011」に参加し、環境車の開発動向とインフラ整備の計画を取材した。

 LCVに関して英国政府ではDTI(Departmentof Trade and Industry:貿易産業省)、DfT(Department for Transportation:交通省)、さらに2009年に発足したBIS(Department for Business,Innovation and Skills:ビジネスイノベーション省)が中心的な役割を果たす。具体的なLCVの普及活動は政府が関与する外郭団体が担当している。その一つが、DTIが2005年に設立したCenexで、今回Rockinghamサーキットで開催されたLCV2011もCenexが主催していた。

各社が英国での取り組みを積極化

 セミナーでは、英国内の自動車メーカー、部品メーカーで構成するAutomotiveCounci(l 自動車評議会)が、次世代環境車開発のロードマップを公開した(図)。
 ロードマップは2009年に作成したものだが、同会の自動車メーカー部門のTechnology Group議長で、Nissan Technical Center Europe社のVice President,Vehicle Design and Development のJerry Hardcastle氏によると「2020年ごろに電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)が本格普及するというロードマップは、特に変更する必要はない」とした。
 同国内に生産拠点のある自動車メーカーは、LCV推進の動きに合わせて低燃費車への取り組みを強化している。例えば、米Ford Motor社は英国内のLCV開発拠点に15億ポンド(1ポンド122円換算で1830億円)を投資する。2010年からは商用EVの「Transit Connect EV」を発売し、ウエールズ工場では排気量1.6Lのターボ過給エンジン「Eco Boost」を生産する。

以下、『日経Automotive Technology』2011年11月号に掲載
図 次世代車の開発ロードマップ
英国Automotive Council(自動車評議会)は2020年ごろからプラグインハイブリッド車や電気自動車が普及するとみる。