日本精工は、モータ用の大径、高速回転軸受として、dmn値(ピッチ円直径×最高回転数)が200万以上という玉軸受を開発した。これは自動車用途としては世界最高。米GM(General Motors)社に納入を始め、同社は「Chevrolet Volt」のハイブリッドシステムのモータ軸受として使う。

 モータのトルクはロータの体積にほぼ比例する。出力はトルク×回転数だから、出力を大きくしようとすれば、全体を大きくし、しかも回転数を上げる必要がある。今後、EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)の性能を上げるために、大径で、しかも回転数の高い軸受、つまりdmn値の高い軸受がどうしても必要になる。
 dmn値は自動車用以外を含めて軸受を評価する指標として広く使われている。ジェットエンジン用や工作機械用では300万のものもあるが、はねかけ潤滑をする自動車の変速機用では一般には60万未満、ハイブリッド車用では軸心から給油する強制潤滑をしてそれ以上とした例はあるが、150万は超えられなかった(図)。
 今回GM社に納入を始めたのは内径160mm、外径190mmの大径軸受。トヨタ自動車「プリウス」のハイブリッドシステムに使った内歯車用軸受が内径110mm、118mmだった。なお、今回のVolt用と同じ役割を持つプリウスのモータ軸受は外径が62mm。

以下、『日経Automotive Technology』2011年11月号に掲載
図 各種軸受のdmn値
自動車用で200万というのは例がない。