ガソリンターボ車の急増を見越してターボチャージャに参入、TPMS(タイヤ圧力監視システム)の義務化に合わせて空気圧センサを開発、アイドリングストップ機構の普及に向けてキャパシタを装備――ドイツContinental社の戦略的な動きが目立つ。“下請け”になりがちな日本の部品メーカーと違い、完成車メーカーと競合しそうな製品もお構いなしに開発し、攻撃的に売り込む。同社の勢いを現地で取材した。

 ブレーキに進出したのが1998年、メータに進出したのが2007年。ドイツContinental社は今も品ぞろえを広げ続ける部品メーカーである。この9月にはガソリンエンジン用ターボチャージャの市場に参入した。エンジンのダウンサイジングが進むことによってターボ過給ガソリンエンジンの市場が成長すると読む。ある調査では2011年から2016年までの5年間に235%伸びるという。
 同社が新規部門に参入する場合、ブレーキではAlfred Teves社、メータではSIEMENS VDO社など、既に技術を蓄積したメーカーを買収するのがいつものやり方だったが、今回はゼロから内部で開発した。長期間の耐熱試験、実車の走行試験などを済ませて参入にこぎつけた(図)。
 モデルは「SK1」「SK2」の2種類。SK1はタービン径が35.5mm、コンプレッサ径が39mm、エンジン出力にして100kW未満を対象とした製品。SK2はエンジン出力にして160kW未満を対象とした上位機種。SK1は2011年9月にドイツLahr市にあるSchaeffler社の工場で生産を開始した。SK2は2013年に開始する予定。
 大きな特徴はAl(アルミニウム)合金製のコンプレッサロータを鍛造で造ること。一般にコンプレッサロータはラバーキャストと呼ばれる方法で羽根の部分を最終形状に近い形まで鋳造する。最後に仕上げの機械加工をするが、取りしろは少ない。
 これに対してContinental社のターボチャージャは羽根の全くない円錐台形に素材を鍛造し、マシニングセンタで羽根の形状に彫り込んでいく。

以下、『日経Automotive Technology』2011年11月号に掲載
図 ドイツRegensburg市の研究施設で高温疲労試験を続けるターボチャージャ