トヨタ「スターレット」、日産「サニー」、ホンダ「シティ」。今や日本では見なくなった排気量1.3Lクラスの小型車だが、再び新興国でこのクラスが脚光を浴びている。名前は違っても、低価格で燃費の良いクルマという狙いは今も一緒。インドや中国で新たに投入され始めた低価格戦略車の実力に迫る。

 トヨタ自動車、日産自動車、ホンダが相次いで低価格戦略車を投入している。インドではトヨタがセダンの「Etios」とハッチバックの「Etios Liva」を、ホンダもタイで2011年6月に発売したハッチバックの「BRIO」を9月にインドで発売した。日産も低価格車の新プラットフォーム「Vプラットフォーム」を2010年に「マーチ」に適用、その第2弾として中国を皮切りにセダンの「Sunny」を発売した。
 もちろん各社はBセグメントの小型車を持っている。トヨタでいえば「ヴィッツ」、ホンダなら「フィット」などがそれにあたる。しかし、これらは新興国で現地のクルマと競争するには「高すぎて勝負にならない」(トヨタでEtiosの開発を担当した製品企画本部チーフエンジニアの則武義典氏)。
 例えば、インド。市場シェアの半分ちかくを握るMaruti Suzuki社の主力車種「スイフト」は、8月に新型が登場し、値上げしたが、それでも70万円から買える。韓国Hyudai Motor社のハッチバック「i10」は全長3585mmとやや小さいが、古い排気量1.1Lのエンジンなら60万円からだ(表)。

以下、『日経Automotive Technology』2011年11月号に掲載
表 低価格戦略車の仕様
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