工場で扱う部材の品種が多いと、部材のデッドストックが増えやすい。前回(2011年9月号)に続き、和洋菓子メーカーの津具屋製菓を舞台に、その攻略法について学んでいく。

 2011年6月初旬の指導会で山田日登志氏は、同社本社工場の菓子詰め合わせ仕上げラインに着目していた。複数の菓子が入った箱を包装紙で包み、完成品を出荷用の段ボール箱に梱包するラインである。この工程は、工場内で最も多い種類の部材を扱っていた。その部材とは「包装紙」。箱の中身は同じ種類の菓子でも、顧客によってネーミングが異なるため、菓子の種類を上回る包装紙の種類を扱っていた。スタッフが調べると、同工程で扱う菓子は12種類、包装紙は34種類だと分かった。

 山田氏が「包装紙の置き場はどこか」と尋ねると、スタッフは別棟の倉庫に案内した(上の写真)。その在庫量の多さに、ため息をつく山田氏。ここまで包装紙の在庫が積み上がってしまった原因とは何か。

〔以下、日経ものづくり2011年10月号に掲載〕

山田日登志(やまだ・ひとし)
PEC 産業教育センター 所長
トヨタ生産方式を270社に導入した経験を持つコンサルタント。岐阜県生産性本部在籍中に大野耐一氏と出会い、1971年から師事。1978年にカイゼン・リーダーを育成するPEC産業教育センターを設立し、所長に就任。ソニーを指導中にセル生産の基礎を築いた。