皆さんは前回(2011年9月号)の授業で、代数の本質と回転の基礎をバッチリ押さえました。代数の本質は、「数の代わりになる記号と操作を導入して、その結果どうなるかのルールを決める」こと。「回転」という操作をR、座標上にある点の位置を(x,y)とすると、回転後の位置(X,Y)は、R(x,y)と表せるのでした。
三角関数を使ってこのRを求めると、4つの記号が縦と横に2つずつ並んだ「回転行列」が得られました。さぁ皆さん、ノートに書いてみましょう。覚えているかな?
(生徒たちが回転行列をスラスラと書き始める)
左下から時計回りにsc-sc(エス・シー・マイナス・エス・シー)と覚えるんだから…上の行がcosθと-sinθ、下の行がsinθとcosθの行列になります。「ものづくりの現場でめちゃめちゃ使えるんで丸暗記を」とお話ししました。sc-sc、sc-sc…。もう忘れませんね(笑)。
今回は、待ちに待った応用編。平面の世界から3次元の世界へ飛び出します。これを理解すれば、世の中のあらゆる回転を精密に表現できるようになっちゃいます。
すぐにその説明に入りたいところですが、皆さんにご紹介したい、いや、感動をぜひとも共有したい「神様の公式」について話さないわけにはいきませんっ! 電気回路の波形計算にも応用されていて、非常に便利なものです。
〔以下、日経ものづくり2011年10月号に掲載〕
東京大学 先端科学技術研究センター 教授