生産技術を一言で表すと、造りたいものをどう造るかを決めることといえます。例えば、ハイブリッド車に載せるモータを従来と同じ造り方で製造したら、従来と同じ性能しか出ませんよね。だから、常に造り方を工夫して変えていかなくてはいけないんです。
私たちは、生産技術を商品とサービスと並ぶ、ものづくりの根幹として非常に重視しています。実際、これで付加価値の大きさや競争力の強さ、商品の優劣が決まってしまいますから。では、トヨタがどんな取り組みをしているのか、具体的にお話ししましょう。
私たちが志向するのは、トヨタらしいものの造り方。それを突き詰めれば、「1個ずつ造る」ことになります。その根底には、必要なものを必要なときに必要なだけ造るという考えがあります。それによって、非常にリーンな在庫で生産が回る。万一どこかに異常があっても原因を特定しやすく、すぐにラインを止めて改善を施せる。こうした積み重ねで生産性の向上が図れるのです。
〔以下、日経ものづくり2011年10月号に掲載〕(聞き手は本誌編集長 荻原博之)
トヨタ自動車 取締役副社長