「技術者のための最新中国事典」は、中国に詳しいコンサルタントであり、現役の技術者でもある遠藤健治氏が、最新の中国事情を伝えるコラムです。変化が激しい中国のものづくりや市場、人々の文化や習慣など、日本企業のビジネスチャンスにつながり得る「今」の情報を素早く捉え、独自の分析や対策などのヒントを技術者向けに提供します。

 東日本大震災で東京電力の福島第一原子力発電所が事故を起こして以降、日本ではにわかに放射線量計に注目が集まっています。特に電子式個人線量計は、テレビ番組などで「ガイガーカウンター」としてよく取り上げられているため、一般の人にも広く知られるようになりました。

 実は、私はX線を使った検査装置の販売も手掛けているのですが、展示会で商品の説明をしていると、多くの人から「X線検査装置よりもガイガーカウンターを造った方が儲かるんじゃないの?」と言われます。検査装置に付いている電子式個人線量計だけを販売してほしいと言う人もいるほどです。茶葉から牛肉、そして米へと放射能汚染問題が広がっている現在の日本で、そうした声が上がるのは理解できます。しかし、その一方で計測器の正しい使い方を知っている人が極めて少ないのも事実です。

〔以下、日経ものづくり2011年9月号に掲載〕

遠藤健治(えんどう・けんじ)
技術者・海外進出コンサルタント
日本と中国を含めたアジアのものづくりに詳しい技術者で、海外進出コンサルタント。京セラ入社後、開発部、生産技術部、品質保証部に勤務。中国工場における製造業務指導が評価され、同社を退社して精密機器メーカーの中国工場にて製造部長や品質部長を務める。現在、業務用機器メーカーの技術者として日本と中国を股に掛けて活躍中。著書に『日系中国工場製造部長奮闘記』『中国低価格部品調達記』(共に日経BP社)などがある。