過去10年、サプライチェーン管理(SCM)の改革によって、調達や製造、物流といった目に見えるコストダウンが進んできました。しかし、製品ライフサイクルが短くなりグローバル競争が激化する中、コストダウンだけの改革では企業内は疲弊するばかりです。本コラム「エンジニアリング・チェーン改革」は、製品の価値を決める設計開発領域を中心に抜本的な業務改革をどう実現するかを、事例ベースで解説します。

 前回(2011年8月号)から、「業界世界一」「売り上げ1.5倍」を目指すA社の業務改革プロジェクトにおける実行フェーズの解説を開始した。具体的には、優先度が高い施策である「情報基盤〔BOM(部品表)・技術情報〕の構築と改革」である。前回は、「案件BOM」「設計BOM」「製造BOM」「出荷BOM」という4種類が必要であることが明らかになった。今回は引き続き情報基盤構築の実行フェーズとして、(1)BOMの活用方法の決定、(2)主要属性と管理技術情報の整備、(3)活用方法の検証、の進め方を紹介する(図)。

〔以下、日経ものづくり2011年9月号に掲載〕

図●情報基盤〔BOM(部品表)・技術情報〕の構築と改革に向けた基本ステップ
色付けした部分を今回は解説する。
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團野 晃(だんの・あきら)
O2 技術ディビジョン シニアコンサルタント
大手自動車部品メーカー、製造業向けコンサルティング会社を経てO2(本社東京)へ参画。量産機能部品の生産技術、3次元CADによる製品設計から生産工程までをカバー。O2では、その14年に及ぶ経験を生かしたコンサルティング活動に従事している。
O2(http://www.o2o2.co.jp/)は、設計開発領域を中心としたエンジニアリング・チェーンを専門とするプロ集団。顧客企業の業務プロセス改革、高度な技術課題解決を総合支援。SDM、3D-DPRMなど独自の方法論を持つ。