市場も競争相手もグローバル化した現在、日本メーカーが勝ち残るためには低価格路線では難しい。といって、品質一辺倒でも受け入れてもらえない。両者のバランスを高い次元で満たすことが重要になる。

バランスの支点を低コスト寄りへ

 このような状況の中、日本メーカーにおける品質とコストのバランスについて、技術者の考え方はどうだろうか(Q1)。「おおむね良いバランスである」という回答は19.8%と、2割に満たない。これに対して、「品質に偏重している/偏重気味である」が50.3%、「コストに偏重している/偏重気味である」が22.2%と、品質またはコストのどちらかに偏っていると考える技術者が7割を超える。

 ここで、コストよりも品質に偏っていると考えた技術者が多かったことに注目したい。高度成長期以降の日本メーカーは高い品質のものを、より低コストで提供することで、欧米など先進国メーカーなどとの競争に勝ってきた。しかし、昨今の新興国メーカーとの競争では、品質とコストをバランスさせる支点が低コスト側に移ってきた。前述の回答結果は、日本メーカーがこれに対応すべきだと技術者が考えていることを示すものだろう。

〔以下、日経ものづくり2011年9月号に掲載〕

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