2011年7月に東京電力と東北電力の管内で始まった、電力の使用制限。事前の対策が功を奏し、順調な滑り出しを見せた企業が多い。だが、電力会社の供給力は依然として厳しい状況が続いており、電力不足に備えるための課題は山積みだ。

 本誌2011年7月号の特集で紹介したジェイテクトの東京工場(東京都羽村市)は、同年8月上旬の時点で前年比約20%の節電(ピーク電力での比較)を達成している。目標の25%には達していないが、法的な制限率である15%はクリアした。当初の見込み以上に節電効果があったのは、熱処理炉の運用改善だ。設計変更まで踏み込んで熱処理工程の種類を集約し、炉が空運転している時間を短縮した(図)。

 住友ゴム工業の白河工場(福島県白河市)は、同年8月上旬の時点で前年比25.1%の節電を達成している。自動車用タイヤの部材を貼り合わせる工程において、圧縮空気(エア)の供給を配管全体で最適化したことや、高効率な圧縮機を導入したことで、消費電力を低減できたという。

〔以下、日経ものづくり2011年9月号に掲載〕

図●ジェイテクト東京工場の熱処理炉
工程を集約し、大幅な節電を達成した。炉には断熱塗装も施したが、その効果は見込みほどではなかったという。