ダイナミック・リコンフィギュラブル(動的再構成)技術が、採用の裾野を広げている。業務用の複合機やビデオ・カメラなど高価な機器だけでなく、実売価格が1万円台のデジタル・カメラにまで採用が広がってきた。

ダイナミック・リコンフィギュラブル技術を採用し始めたデジタル・カメラ

 専用論理回路(ハード・ワイヤド回路)並みの処理性能を持ちながら、ソフトウエアのように柔軟に回路構成を変えられるダイナミック・リコンフィギュラブル技術。これまではオフィス用の複合機や放送業務用ビデオ・カメラなど100万円以上の高価な機器での採用が中心だったが、ついに数万円という安価な民生機器に、本格的に普及し始めた。ここ1年ほどで、複数のデジタル・カメラ・メーカーが、自社製品にダイナミック・リコンフィギュラブル技術を搭載したことを明らかにしたのだ。そこには実売価格が1万円台の製品も含まれる。

 筆頭はカシオ計算機だ。同社は2010年11月に発売した「ハイスピードエクシリム」シリーズの「EX-ZR10」にダイナミック・リコンフィギュラブル技術を用いた画像処理LSI「EXILIMエンジンHS」を搭載した。現在はこれに加えて、「EX-ZR100」「EX-H20G」「EX-TR100」の合計4機種に同技術を採用している。

 カシオ計算機の発表から4カ月後となる2011年2月、今度は富士フイルムがそれに続く。発表した「FinePix」シリーズの3機種「F550EXR」「HS20EXR」「X100」に搭載した画像処理LSI「EXRプロセッサー」に、同技術を盛り込んだ。

微細化でコストが許容水準に

 複数のデジタル・カメラ・メーカーが相次いでダイナミック・リコンフィギュラブル技術を採用したのには、主に二つの要因がある。

 第1に、微細化の進展により、同技術の最大のネックであった回路規模の大きさを許容できるようになってきたことである。民生機器向けASICでも45nm世代以降の製造技術の利用が増えてきたことで、同技術の巨大な回路が、デジタル・カメラのような安価な民生機器でもコスト的に見合うようになってきた。

『日経エレクトロニクス』2011年8月22日号より一部掲載

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