Sn系負極で容量を25%増加

 ソニーが、負極にスズ(Sn)系材料を採用することでLiイオン2次電池を高容量化すると2011年7月に発表した。開発したのは、いわゆる「18650」サイズ(直径18mm×高さ65mm)の電池セルで、容量は3.5Ahと高い。同社が2010年に製品化した従来品の2.8Ahから、25%の大幅な容量の増加を実現した。体積エネルギー密度は723Wh/L。質量は53.5gで、質量エネルギー密度は226Wh/kgとなる。充電電圧は4.3Vである。2011年中に出荷を開始する予定だ。

 実は、ソニーが負極にSnを用いたLiイオン2次電池を製品化するのは今回が初めてではない。2005年にビデオ・カメラ向けに直径14mm×高さ43mmの「14430」サイズの電池セルを販売している。今回は、これよりも一回り大きい18650サイズ品をノート・パソコン向けに量産する。

Sn系材料をアモルファス化

 18650サイズの電池セルで3.5Ahもの高容量を実現するためには、「負極材料を変更するしか方法はなかった」(ソニーエナジー・デバイス LI第1事業部門 商品設計1部 統括部長の井上弘氏)とする。ソニーは、1997年ごろに負極材料を従来の低結晶性炭素(ハード・カーボン)から黒鉛に変更して容量を高めた。

『日経エレクトロニクス』2011年8月8日号より一部掲載

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