カー・ナビゲーション・システムは通信機能の強化や車両制御情報の取り込みによって、車載情報システムとして進化している。今後はクラウドを活用することで、新たなアプリケーションやサービスの提供が見込まれる。日立オートモティブシステムズに車載情報システムの最新動向を聞いた。

 車載情報システムにおいてカーナビは中核的な役目を果たしている。デジタル地図を表示するカーナビがあることで、地図の目的地情報や周辺情報を提供するサービスが実現できる。日立グループでは、クラリオンがカーナビを手がけており、ITソリューションとして各種のサービスやアプリケーションを提供する役割を日立オートモティブシステムズが担っている。
 ここで、これまでのカーナビの進化を簡単に紹介しよう。欧米では方向を矢印などで示す方式のカーナビが当初使われたが、日本では地図を見せる方式で発達した。当初はGPS(全地球測位システム)がなく、走行距離とジャイロセンサで自社の位置を知る自律航法が主流だった。
 その後、1990年代にGPSセンサが導入され、より正確に位置を表示できるようになる(図)。地図データを格納するメディアはCD-ROMからDVD-ROMに進化し、蓄積できる情報量は大幅に増えた。詳細な市街図を表示したり、目的地周辺の観光地やレストランなどの付加情報を提供することが可能になった。さらに、上級機種ではHDD(ハードディスク)を採用し、音楽や動画を取り込むといったエンターテインメント機能も強化された。

以下、『日経Automotive Technology』2011年9月号に掲載
図 クラリオンのカー・ナビゲーション・システムの進化
初期のカーナビは自律航法だったが、1990年代にGPSの活用が始まる。地図データのデジタル化が進み、情報量が増えることで地図の媒体がCD-ROMからDVDROM 、HDD(ハードディスク)にシフト。現在はメモリータイプの安価なPNDと高機能な通信ナビに二極化している。
[画像のクリックで拡大表示]