研究者の視点
アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー 田中 栄氏
1993年から2002年までマイクロソフトに在籍。WordおよびOfficeのマーケティング戦略を担当。2003年アクアビットを設立。「未来予測レポート」シリーズ著者。

 米GM社が「OnStar」というテレマティクスサービスを浸透させつつあることは、日本ではほとんど知られていない。ルームミラーに取り付けられたボタンを非常時に押せば、専門の訓練を受けたアドバイザーにつながり、必要なサービスを受けられる仕組みだ。
 このほか、OnStarの代表的なサービスとして盗難時に遠隔操作でエンジンを停止させる機能や、トラブルの際にGPSで車両の位置を特定した上で関係機関に連絡するサービス、キー閉じ込み時の解錠サービスなどがある。利用料金はオプションによって異なるが、月額16~22ドル(1ドル=80円換算で1280~1760円)程度。米国とカナダで500万人以上が加入している。
 2011年2月、GM社はOnStarの後継となる「MyLink」という新サービスを発表した。カーナビのように、大画面のビジュアル化されたインタフェースが特徴だ。これを見て「米国もようやく日本のカーナビに追いついてきた」などと考えるのは間違っている。

以下、『日経Automotive Technology』2011年9月号に掲載