欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 韓国Hyundai Motor社は2011年6月、世界で最も有名な屋外広告スペースの一つであるビカデリーサーカスの街頭ディスプレイを獲得したと発表した。このスペースは、かつては三洋電機のネオンサインが置かれていた。年間3400万人が見ると思われるこのスペースに広告を出すのに要する費用は、年間2億8550万円に上ると見積もられている。
 同社の戦略に詳しいある専門家は、これを「“口コミ”マーケティング」だと説明する。「世界各国からの旅行者たちは、ピカデリーサーカスで、Hyundai社のトレードマークである巨大な“H”を頭に刷り込まれて、自宅に戻ることになる」。
 屋外広告会社JCDecaux社の英国および北欧担当責任者であるJeremy Maleによれば、この場所に広告を出す目的は、ブランド価値や企業価値の長期的な成長にあり、短期的な効果ではないという。

以下、『日経Automotive Technology』2011年9月号に掲載