フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)は中型セダン「パサート」を全面改良して発売した。Dセグメントでありながら10・15モード燃費で18.4km/Lとトップクラスの値を実現したのが最大の特徴だ。

 新型パサートは、搭載エンジンと変速機を排気量1.4L・直列4気筒のガソリン直噴ターボエンジン「TSI」と、7速DCT(Dual Clutch Transmission) の「DSG」の組み合わせに絞っている。従来のパサートが、排気量1.8Lおよび2.0Lの直列4気筒・直噴ガソリンエンジンと、排気量3.2L・狭角V型6気筒ガソリンエンジンの3種類を用意していたのに比べて、排気量は大きくダウンサイズした。その背景には輸入車市場の変化がある。
 パサートはこれまで、ドイツDaimler社の「Mercedes-Benz Cクラス」やBMW社「3シリーズ」、ドイツAudi 社「A4」といったDセグメント車を競合車種と想定して、エンジンラインアップもそろえていた。しかし同社によれば、輸入車ユーザーの志向には大きな変化が起きているという。
 軽自動車や小型車の比率が77%にまで高まっている国内自動車市場(2010年、VGJ調べ)だが、輸入車の市場では中型車の比率が減少する傾向にあるとはいえ、依然として45 %ある(図)。しかし、排気量で見ると、2006年には排気量が2.0Lを超える車種の販売比率が41%を占めていたのに対し、2010年には9%に激減し、逆に1.8Lの販売比率が同じ時期に14%から43%へと大幅に高まっている。
 こうした変化を背景に、VGJは新型パサートを導入するにあたり、「Cクラスや3シリーズ、A4とは違うポジショニングにするという思い切った決断をした」(同社)という。

以下、『日経Automotive Technology』2011年9月号に掲載
図 輸入車は45%を中型車クラスが占める
乗用車全体では小型車が3/4以上に達するが、輸入車では2006年より減少しているとはいえ、45%が中型車以上(VGJ調べ)。