日経BP社は「Automotive Technology Day 2011 spring」を開催した。テーマは「軽い・安いを実現するクルマの新技術」。鉄鋼、Mg(マグネシウム合金)、樹脂の成形法、繊維強化樹脂の活用といった多彩なテーマについて、軽量化、低価格化を担当する技術者が最新の動向を知ることのできる場となった。

 まず、住友金属工業総合技術研究所利用技術研究開発部部長研究員の富澤淳氏が登壇し、「鉄系部材を閉断面に加工してスペースフレームを実現」について講演した。鋼管に曲げ、ハイドロフォームなどの成形をし、応力の加わる場所に配置して骨格を作る工法である。現在主流になっている、鋼板で外皮を造る方法に比べて剛性を高く、しかも軽くできる。
 その基礎技術になるハイドロフォームについて最新の情報を提供した。軸押しをしっかりすることでテーパ管でもハイドロフォームする技術を開発した(図)ほか、2枚の板を重ね、周囲を溶接してから間に水を入れて膨らませる「鋼板ハイドロフォーム」というやり方も確立した。内側、外側2重の管材を組み合わせ、ハイドロフォームで両者を締結して部分的に補強する「部分2重管」についても説明した。ハイドロフォームは思いのほか多様化しているようだ。

以下、『日経Automotive Technology』2011年9月号に掲載
図 住友金属が公表したテーパ管のハイドロフォーム
590MPa品で、(a)が軸押しなし、(b)が軸押しあり。拡管率を上げるほど硬度も上がる。