3次元NANDフラッシュ・メモリを量産へ

 「ポストNANDメモリは、かなり現実に近いところにある」(東芝 代表執行役社長の佐々木則夫氏)──。

 東芝が、競合他社に先駆けて“ポストNANDフラッシュ”の新メモリの事業化に乗り出す。メモリ・セルを縦積みする3次元NANDフラッシュ・メモリの量産を、2013年に始める意向を明らかにした。その拠点となる製造棟「Fab5」を、2011年7月に三重県の四日市工場で稼働させた。

 3次元NANDフラッシュ・メモリの開発には韓国Samsung Electronics社なども力を入れているが、量産計画を具体的に示したのは現時点で東芝だけである。加えて、3次元NANDフラッシュ・メモリの生産拠点とすることをうたった半導体工場の稼働は世界初となる。

現行NANDは1Znm世代まで

 東芝がポストNANDメモリの量産に踏み出す狙いは、NANDフラッシュ・メモリ市場でのさらなる競争力強化にある。同メモリの直近の市場シェアで、東芝は首位のSamsung社に肉薄している。「Samsung社との差はわずかになった。早期にシェア首位を獲りたい」(佐々木氏)と言えるポジションにある。競争力の源泉となる微細化技術で、長く業界の先頭を走ってきたことが大きい。

『日経エレクトロニクス』2011年7月25日号より一部掲載

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