生産量が極めて少なく、規格や寸法仕様がほとんど存在せず、非常に高価な金属材料を使った鋳造品。これだけで何のことか分かった方はいるだろうか。正解は、ジュエリーとアクセサリーだ。厳密にはジュエリー(宝飾品)とアクセサリー(装飾品)は異なるものとされているが、ここではジュエリーで統一する。

 ジュエリーは工芸品という印象が強いので、職人が手作業で造っていると考えてしまいがちだが、それは間違いである。実際の製造プロセスは、(1)デザイン画を作成、(2)3次元CADで原型のモデルを作成、(3)RP(RapidPrototyping)装置で原型を出力、(4)型取り、(5)鋳造、(6)仕上げ、という流れになっており、工業製品向けの鋳造部品とほぼ同じだ。ジュエリーという華やかな製品においても、3次元CADやRP装置の導入により、製造プロセスが大幅に変化した。

〔以下、日経ものづくり2011年8月号に掲載〕

イラスト:つだかつみ

相馬達也(そうま・たつや)
3Dデータを活用する会・3D-GAN 理事長
1991年関東学院大学を卒業、CAD/CAM/CAEソフト会社の立場でデザイン/設計/生産分野の3次元化に携わる。2007年にツクルスを創業し、代表取締役に就任。同時期に3Dデータを活用する会・3D-GAN(旧・3次元形状を活用する会)を結成。