日本の産業構造の特徴は、多様な産業から成り立っているという点にある。個々の産業を歯車に例えると、日本経済は大小さまざまな大きさの、また、多様な形の歯車から構成されている機械のようなものである。これらがうまくかみ合っているときに、この機械(日本経済)は力強く動くことができる。

 もちろん機械が動くためには、需要という動力源も必要である。国内市場にとどまらずグローバル市場で競争力を持つ産業が、機械全体にパワーを伝える重要な役割を果たす歯車である。自動車産業がこのような役割を果たした歯車の1つであることに異論はあるまい。しかし、自動車産業がグローバル市場からパワーを引き込めたのは、素材産業、とりわけ鉄鋼産業という歯車とうまくかみ合ったからである。

〔以下、日経ものづくり2011年7月号に掲載〕

イラスト:つだかつみ

相馬達也(そうま・たつや)
3Dデータを活用する会・3D-GAN 理事長
1991年関東学院大学を卒業、CAD/CAM/CAEソフト会社の立場でデザイン/設計/生産分野の3次元化に携わる。2007年にツクルスを創業し、代表取締役に就任。同時期に3Dデータを活用する会・3D-GAN(旧・3次元形状を活用する会)を結成。