日本大震災から約4カ月が経過したが、東京電力の福島第一原子力発電所の事故の影響は広がり続けている。事故によって注目を集めた原発リスク。そんな中、「原発反対」の世論が国内外で急速な高まりを見せている。2011年6月19日に中国新聞が報道した、日本世論調査会の全国世論調査によると、回答者の3人に2人が「原発の新増設」を反対している。

 2011年夏、東京電力と東北電力の管内において、大手メーカーの工場など大口需要家が、ピーク時の電力使用量を原則15%削減することになった。反対世論の高まりから、そう遠くない将来の震災発生が危ぶまれる東日本や東海地区だけではなく、西日本の原発でも稼働が停止される可能性がある。電力不足は日本全体の問題なのだ。

 製造業に携わる技術者らは、原発リスクと電力不足についてどう見ているのだろうか。そこに焦点を当てた調査を実施したところ、世論とは少し異なる結果が得られた。

 その代表的な例がQ1である。「今後の原発の活用について、どうすべきだと思うか」と直球の質問を投げてみた。すると、実に26.8%が“推進派”であることが分かった。その内訳は、「原発を推進すべきだ」が11.6%で、「地震・津波の被害がない所に原発を設置すべきだ」が15.2%。“廃止派”も53.2%と過半数を超えたが、反対派の多い世論と比較するなら、廃止派が2人に1人にとどまり、推進派が4人に1人もいたことの差は大きい。

〔以下、日経ものづくり2011年7月号に掲載〕

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