2011年5月18~20日に開催された自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2011」。一番の話題をさらったのは、トヨタ自動車が開発したハイブリッド車(HEV)「プリウスα」だ。ハッチバックタイプとなっている現行プリウスのワゴン版である。開催のわずか5日前に発売された新車だったこともあって、同社のブースには途切れることなく人が押し寄せていた。

 プリウスαには、5人乗りの2列シート車と7人乗りの3列シート車の2タイプがある。トヨタ自動車が出展したのは後者だ。共に、ハイブリッド・システムには現行プリウスと同じく「リダクション機構付きTHS II」を採用したが、現行プリウスよりも大きく重くなった分、駆動用モータの水冷方式を改良するなど工夫した。その結果、ワゴン車ながら両タイプとも31.0km/L(10・15モード)と高い燃費を実現した。なお、現行プリウスの燃費は、最も優れるグレードで38.0km/L(同モード)だ。

 技術に関して目を引いたのは、3列シート車の駆動用2次電池にリチウム(Li)イオン2次電池を採用したことだ(図)。2009年末にリース販売を開始したプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)「プリウス プラグインハイブリッド」に続く2例目の採用となる。プライムアースEVエナジー(本社静岡県湖西市)製で、電力容量は1.3kWh未満だという。現行プリウスは電力容量1.3kWhのニッケル水素(Ni-MH)2次電池を積んでおり、プリウスαの2列シート車もNi-MH2次電池を採用している。

〔以下、日経ものづくり2011年7月号に掲載〕

図●プリウスαの3列シート車に搭載されたLiイオン2次電池
(a)は外観。スペースを作るために、センター・コンソール・ボックスの中に収めた(b)。