個別受注生産を得意とする国内企業は多い。量産品の生産は海外への移転が進行する一方で、量産のための設備の開発や生産、試作は国内に残っており、これらを多くの国内企業が個別受注生産で手掛けている。しかし、品質には優れるものの、スピードへの評価はそれほど高くない。

 本誌2011年6月号「数字で見る現場」で実施した調査からも、このことが読み取れる。「どのような点で日本メーカーの技術力が高いか」との質問に対し、実に回答者の86.9%が「安定した品質」と答えた。しかし「納期の短さ」との回答は、わずか20.9%にとどまった。

 顧客への見積もり提出や質問への回答といった対応も遅いといわれる。コンサルティング会社のO2(本社東京)も、この点を個別受注生産の国内企業が持つ弱点と指摘する。「競合する海外メーカーが素早く商談を進行させてしまい、顧客企業が待ってくれなくなることが失注の一因となっている」(同社)と分析している。

〔以下、日経ものづくり2011年7月号に掲載〕