2011年6月16~19日開催の「東京おもちゃショー」(東京ビッグサイト)に出展された製品の多くは、対象年齢にある程度の幅はあるものの、ユーザーとして子どもを想定したものだ。弱者である子どもの安全を確保するという点において、大人向けの製品よりも細心な配慮が必要になる。おもちゃショーに出展された製品を見れば、子ども向け製品の市場で求められる安全に対する考え方を知ることができる。

誤使用時の温度上昇を防ぐ

 三洋電機が出展したのが、誤使用時の電池温度の上昇を抑制する機能を搭載したニッケル水素2次電池「eneloop plus」である(図)。同社の「eneloop」シリーズの新製品で、2011年12月1日の発売を予定している。

 従来、出力が大きい市販用2次電池は、誤使用の可能性が高い玩具市場では推奨されていなかった。誤使用の典型例としては、プラスとマイナスを逆向きに入れたり、電池をかばんに入れて持ち運ぶ際に導電性の高いものと端子が接触してしまったりといったことが想定され、過剰な電流が流れて発熱する危険性が指摘されていた。

 しかし、同社の調査によると、乾電池の約1割は玩具やゲーム機に使われている。eneloopのユーザーの裾野を広げるためには、子どもの誤使用にも配慮した安全性の高い製品が不可欠だった。

〔以下、日経ものづくり2011年7月号に掲載〕

図●過昇温防止機能を持つニッケル水素2次電池「eneloop plus」
容量や繰り返し使用回数、自然放電抑制性能などは従来のeneloopと同等の性能を維持しつつ、過昇温防止機能を追加した。PTC素子によって誤使用時の電池温度上昇を抑制することで、おもちゃなどでの仕様にも適している。