「当社は休業日を木・金曜日に振り替える予定はない」。こう話すのは、中国地方にある自動車2次部品メーカーの経営者だ。「顧客である1次部品メーカーから要請がない上、電力不足の懸念も今のところない」からだ。

 日本自動車工業会に加盟する14社のうち川崎重工業を除く13社は、2011年7~9月の3カ月間、全国の工場の休業日を土・日曜日から木・金曜日に振り替える。これに伴い、部品メーカーも足並みをそろえるかと思いきや、実際は各メーカーによって対応が異なるのが実状だ。冒頭のメーカーのように現在の体制を維持するところもあれば、自動車メーカーと同じ日に休業日を振り替えるところもある。はたまた、「電機業界とも取引があるため、金・土曜日に休業する」(関東にある1次部品メーカーの技術者)というメーカーもあった。そんな中、部品メーカーの間で「出荷品や仕掛かり品の増加」という新たな問題が浮上している。

休業日のズレが招く在庫増

 複数の自動車部品メーカーに取材したところ、休業日を振り替える場合も日々の生産体制を大きく変更するわけではないことが分かってきた。「これまで木・金曜日に生産していた物をそのまま土・日曜日に生産することで対応できる」(関西にある1次部品メーカー)からだ。生産をそのまま移行するのであれば、出荷在庫が増えることはない。ただし、休業日が1日でもずれると話は別だ。

〔以下、日経ものづくり2011年7月号に掲載〕