写真:栗原克巳

 エアロパーツとかロアサスペンションとかのクルマ用品を扱う我々ホンダアクセスという会社は、少し風変わりな会社かもしれません。ものづくりの会社を標榜し、私を含めて社員全員がそう信じていますが、実際にはものを造っていません。ファブレスで、取引先に全て造ってもらっているんです。

 ファブレスというと、大抵の方は、複数のメーカーにスペック表を渡して相見積もりを取り、一番安いところから買うという形を想像すると思います。しかし、当社はそうではありません。まず、我々自身がいろいろとこだわりながら設計します。そして、取引先と一緒になって、ここはこうしよう、こうしたら安くなる、と侃々諤々の議論をして、我々の「意志」を入れていきます。だから、当社はファブレスでも、ものづくりの会社なんです。
〔以下、日経ものづくり2011年7月号に掲載〕(聞き手は本誌編集長 荻原博之)

柳内 邦章(やなぎうち・くにあき)
ホンダアクセス 取締役社長
1951年9月生まれ。慶応義塾大学工学部機械工学科卒業後、1979年6月本田技術研究所入社。車両空調システムの設計を担当し、初代「シティ」をはじめ数多くの車種開発に携わる。1994年から艤装設計全体を統括。1996年ホンダアクセスに異動。用品開発責任者、購買責任者などを経て、2010年6月取締役社長に就任、現在に至る。