実物の奥行き感や質感を再現できるように処理
(写真:I3研究所)

 「光の反射を正しく表現できれば、映像に奥行き感や質感が生まれる。50型以上と大型で、高輝度、かつ4K×2Kの表示解像度を持つディスプレイは、人が実物を見たときと同様の光刺激を与えられる可能性がある」。I3(アイキューブド)研究所 代表取締役社長の近藤哲二郎氏は、2011年5月12日に発表した画像処理LSI「ICC(integrated cognitive creation)」を開発した理由を、こう語る。

 フルHD(1920×1080画素)の次となる4K×2K(3840×2160画素)以降のディスプレイでは、“臨場感”という主観的な指標が競争軸の一つになりそうだ。4K×2K以降は、ユーザーが映像に没入できるような大画面と、画素の粒状感が見えない精細さが両立することになる。その時代に向けて、2次元表示であっても奥行き感や質感を現実に近い形で表現できる技術の開発が進んでいる。

※I3研究所による画質比較
 ICCと業務用アップコンバータでフルHD映像から4K×2K映像を生成したときの見え方を比較した。いずれも、4K×2K対応の液晶パネルに表示したときの状態をデジタル・カメラで撮影したものである。JPEG形式に圧縮している。(画像データ:I3研究所)

『日経エレクトロニクス』2011年5月30日号より一部掲載

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