東京都大田区の町工場集団「おおたグループネットワーク」(OGN)は、2011年3月11日の東日本大震災で被災した製造業の技術者を対象に、異色の支援策を打ち出して注目を集めている。技術者を社員と同じ待遇で雇用し、社員寮なども提供して家族ごと受け入れる。ここまでは、大手メーカーをはじめ多くの企業も実施している支援策とほぼ同じ。異色なのは、その技術者がOGN在籍時にOGNと共同で開発した「新製品」を、帰郷する際に持ち帰れる点にある。新製品を東北の工場で生産することで、被災地の長期的支援につなげたい考えだ。

 OGNは2009年6月、板金や切削、研磨などの加工技術を保有する町工場の2代目経営者が集まって発足した。当初の目的は、勉強会などを開いて経営革新を進めること。しかし、いつしか勉強会が新製品開発のためのアイデア会議となり、その後、口コミで大学や政府機関の関係者も参加する会に発展した。

〔以下、日経ものづくり2011年6月号に掲載〕