政府の電力需給緊急対策本部は2011年5月13日、懸案だった「夏期の電力需給対策」を決定した。同年4月末に決めることを目指していたが、浜岡原子力発電所の停止問題などから、電力会社間の電力融通量の見直しもあってずれ込んだ。

 具体的な需給対策としては、東京電力と東北電力管内の電力利用者全てに対して、2010年夏期の使用最大電力から15%の削減を目標として掲げた。2011年4月に公表した骨格案では、大口需要家(契約電力500kW以上)が25%程度、小口需要家(同500kW未満)が20%程度、家庭・個人が15~20%としていたが、特に大口需要家に関しては節電目標が引き下げられている。

 節電目標は全ての電力利用者が対象だが、「被災地に対する対応のあり方を含め、適用除外や削減率(15%)の軽減等(中略)の検討を深める」という文言が夏期の電力需給対策の文書には盛り込まれている。関係者によれば、「使用電力の削減が事業に決定的な影響を与える設備に関して例外措置を検討する」ことを示しているという(図)。データセンターや一部のプロセス系のプラントがこの例外規定の検討対象になる可能性がある。

〔以下、日経ものづくり2011年6月号に掲載〕

図●「夏期の電力需給対策」の注目点
対象となるのは東京電力と東北電力の管内の需要家全て。この他、中部電力管内の需要家に対しても、経済活動に影響を与えない範囲で一般的な節電を呼びかける。