電動車両向けインバータの平滑用コンデンサにはフィルムコンデンサが一般的になった。耐圧性と周波数特性に優れるからだ。指月電機製作所は厚さ3μm以下のフィルムを使ってフィルムコンデンサを小型化し、製造する時の誘電体への負荷を軽減し、信頼性を高めた。さらに、電極の一部が短絡しても全体に悪影響が出ない蒸着形状にした。(本誌)

 HEV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)には、数十k~百数十kWと高い出力のモータを使う。電圧も数百Vと高く、それを駆動できるインバータが必要になる。当社は2010年、そうしたインバータに欠かせない、電圧を平滑化するフィルムコンデンサを開発した。容量は500μFから1300μF程度と大きい。定格電圧は600Vと高く、2007年に開発した従来品と比べて定格電流を4倍にした(表)。これを日立オートモティブシステムズが採用し、現在では大手自動車メーカーのHEV向けに出荷が始まった。

以下、『日経Automotive Technology』2011年7月号に掲載
表 2010年の開発品と2007年の従来品の比較
体積当りの容量密度に換算すると、約3年で15%程度向上させた。