手動変速機(MT)車を中心に使われてきた乾式クラッチは、DCT(Dual Clutch Transmission)や、1モータ式ハイブリッドシステムにも採用を広げている。ドイツVolkswagen社の初代「Beetle」から始まり、様々な車両にクラッチシステムを供給するドイツSchaefflerグループLuKブランドに最新動向を聞いた。

 MT車やAMT(Automated Manual Transmission)車で、エンジントルクを駆動系に伝えるために欠かせないのが乾式クラッチ。同クラッチは、クラッチ板とそれをフライホイールに押しつけるクラッチカバー、クラッチを切るためのレリーズ軸受で構成する。
 クラッチ板は両側に摩擦材が貼り付けられており、エンジン側のフライホイールとクラッチカバーの圧着面に挟まれる。クラッチカバーには皿ばねがあり、支点の位置をレリーズ軸受で押すと、てこの原理でクラッチカバーの圧着面がクラッチ板から離れてクラッチが切れる。これが一般的な原理だ。
 摩擦材からクラッチシステムまで手がけるLuKブランドは、1965年にBeetle向けに初めてクラッチの供給を開始。その後、1996年にはクラッチ板の摩耗に伴うレリーズ軸受荷重の増加を検出し、皿ばねの支点を自動調整してペダル踏力・圧着面荷重を一定に保つ「SAC(Self Adjusting Clutch)」を開発した。

以下、『日経Automotive Technology』2011年7月号に掲載