英McLaren Automotive社は2011年4月、2人乗りの高性能スポーツ車「MP4-12C」を発表した。6月から販売店がオープンし、2011年中に1000台程度を販売予定。CFRP(炭素繊維強化樹脂)製の「MonoCell」と呼ぶキャビンを使用し、軽量・高性能が特徴。

 McLaren社が関わったスポーツ車としては、ドイツDaimler社のMercedes-Benzブランドで2003年に発売された「SLR McLaren」が知られる。こちらもCFRP製ボディだが、FR(前部エンジン・後輪駆動)車で全長が4675mmと長く、質量は1800kg程度あった。
 一方、MP4-12Cは、エンジンと変速機を運転席の後部に搭載するミッドシップ配置とし、全長も4507mmと短くした。様々な軽量化技術で、質量も1301kgに抑えた。これによって、エンジンの最高出力は前者より劣るものの、スタートから100km/hまでの加速は3.3秒と、前者の3.8秒を大きく上回る。また、英国での価格は16万8500ポンド(1ポンド133円換算で2241万円)と、前者が日本で7000万円したのに対し、1/3以下となっている。

CFRP製キャビンは75kg

 MP4-12Cは軽量化を徹底しており、CFRP製のキャビンに、アルミニウム合金の押し出し材を中心とした前後フレームを設けている。MonoCellはバスタブ状の部品であり、前部にサイドメンバを接続するための金属部品を一体化した(図)。
 ウインドーフレームや天井は後で結合するために、キャビン単体で強度・剛性を確保する必要があり、側面のサイドシルは非常に幅が広く、高さ方向の寸法もある。MonoCellの質量は75kgと軽い。

以下、『日経Automotive Technology』2011年7月号に掲載
図 CFRP(炭素繊維強化樹脂)製キャビンを採用
(a)「MonoCell」と呼ぶCFRP製キャビンの前後にアルミニウム合金を主としたフレームを結合して前後サスペンションを構成する。(b)CFRP製キャビンの前方にはサイドメンバを接続するための金属部品が埋め込んである。(c)「SLR McLaren」では後部までCFRP製だった。