停電が発生したときの電力供給の仕組み

 「電力削減と簡単に言うが、物理的に不可能だ」──。

 サーバー機やルータなど大量のIT機器を運用するデータ・センター(DC)の事業者が悲鳴を上げている。経済産業省は電力不足に備え、東京電力管内の大口契約者に対し、消費電力のピーク値を、2010年の実績比で15%削減するよう義務付ける方向で調整中だ。

 2011年3月に東京電力が実施した計画停電では、首都圏内のほとんどのDCは稼働を継続できた。だが、ピーク電力の削減は計画停電よりもはるかにハードルが高い。多くのDCは365日24時間稼働し続けるのが前提で、工場のように稼働時間のシフトや休業といった措置が取りにくいからだ。一部のDC事業者は、同業界への優遇措置を経産省に働き掛けているが、経産省は「DCだけ優遇はできない」との態度を崩していない。

 DCが取り得る節電策は三つある。一つは、西日本など電力不足のない地域にサーバー機を移設すること。次は、顧客に依頼してサーバー機を一部停止してもらうこと。最後の一つは、サーバー機を冷やす冷房装置の設定温度を引き上げることだ。

『日経エレクトロニクス』2011年5月2日号より一部掲載

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