微細化とともに高性能化が進む半導体チップに対し、パッケージ技術は依然として旧来のプリント基板技術を使っている。こうした状況に変化が起き始めた。半導体パッケージから旧式のプリント基板技術を排除し、高性能化・薄型化・低コスト化を図ろうとする「コアレス」「基板レス」と呼ぶ動きが、にわかに盛り上がっている。例えばコアレス技術については、ソニーが「PlayStation 3」向けマイクロプロセサに採用していることを最近明らかにした。

コアレス、基板レスへ

 「半導体のパッケージ技術は長年、旧式のプリント基板技術を利用してきた。その旧式技術と決別する時がいよいよやって来た」──。ある半導体メーカーの技術者は、パッケージ業界で起きている技術変化を、このように表現する。その変化とは「コアレス」「基板レス」と呼ばれる二つの動きである。

 コアレスとは、これまで半導体パッケージに用いてきたビルドアップ基板を「コアレス基板」と呼ぶ技術に置き換える動きを指す。ビルドアップ基板は、支持体であるコア層の上下に微細な配線層(ビルドアップ層)を積み重ねた構造を取る。高密度の配線を形成できるビルドアップ層に対して、コア層は旧式のガラス・エポキシ樹脂を用いたプリント基板技術を使っており、電気特性を劣化させる原因となっていた。特に、コア層を貫通するめっきスルーホール(PTH)が持つ大きなインダクタンス成分は、半導体チップの電源雑音を増大させる要因だった。このコア層をなくしたコアレス基板を採用する動きが、「にわかに盛り上がっている」(半導体メーカーのパッケージ技術者)という。

 一方の基板レスとは、半導体パッケージから基板そのものをなくす動きのことである。基板をなくすという点で、旧来のプリント基板技術から完全に抜け出た技術といえる。具体的には、半導体のプロセス技術やビルドアップ層の形成技術を用いてチップ上に再配線層を形成し、パッケージ基板(インターポーザ)と同等の機能を実現したものである。

『日経エレクトロニクス』2011年5月2日号より一部掲載

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