約2.3倍の面積になった「A5」

 米Apple社は、2011年3月に米国などで発売したタブレット端末「iPad 2」に、「A5」と名付けたSoC(system on a chip)を搭載した。本誌が外部の協力を得て実施したA5の解析から、ダイ面積が前世代の「A4」の約2.3倍に大きくなったことや、CPU部の設計に変化があったことが浮かび上がった。

 A5のパッケージを溶かすと、12.1mm×10.1mm(実測値。以下同じ)のダイが現れた。面積は約122.2mm2で、「モバイル機器向けのSoCとしては、かなり大きい部類」(ある半導体技術者)に入る。初代「iPad」に搭載されていたA4の面積は約53.2mm2であり、約2.3倍に増大した計算だ。製造会社と製造技術の世代を識別する根拠となる、ダイの四隅に形成されたパターンはA4のものと同一形状だった。すなわち、A4もA5も韓国Samsung Electronics社の45nm世代の技術で製造したとみられる。iPad 2の発売前に「Apple社はA5の製造を台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.)に委託した」とする一部報道もあったが、本誌が分析したA5はTSMC製ではなかった。

『日経エレクトロニクス』2011年5月2日号より一部掲載

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