今回は、生産ラインに流す製品の「単位」について学ぶ。指導の舞台は前回(2011年4月号)に引き続き、木製洋家具を開発・製造・販売する冨士ファニチア(本社徳島県・板野町)だ。

 山田日登志氏はこの日、同社工場の椅子生産ラインを出荷工程から指導していた。出荷工程とその前工程である「クッション/カバーの張り工程」でムダを指摘した後、張り工程に供給するクッションを造る「クッション生産工程」へ移動。そこで山田氏は、ある光景を前に足を止めた(上の写真を参照)。

「これもあかんなぁ」

 そう言って眉をひそめる。

「なんでこの棚がここにあるんや?」

 その棚には、クッションを造るための布などの部材が1.5日分ほど、半日分ずつに仕分けして置かれていた。前工程の「裁断工程」から、担当者があらかじめ運んできていたのだ。

 この直前に山田氏は、「クッション生産工程は、張り工程で次の1時間に使う分のみを生産するように」と指示していた。この棚に潜むムダとは何か。

〔以下、日経ものづくり2011年5月号に掲載〕

山田日登志(やまだ・ひとし)
トヨタ生産方式を270社に導入した経験を持つコンサルタント。岐阜県生産性本部在籍中に大野耐一氏と出会い、1971年から師事。1978年にカイゼン・リーダーを育成するPEC産業教育センターを設立し、所長に就任。ソニーを指導中にセル生産の基礎を築いた。