融点が57℃になる溶融塩

 住友電気工業は、京都大学 エネルギー科学研究科の萩原研究室と共同で、100℃未満の中低温で作動が可能なNaイオン2次電池を開発した。既に住友電工の大阪製作所で、9kWhの電池モジュール4台(36kWh分)を所内の電力系統に接続し、実証試験を開始している。

 住友電工は、そもそも電力貯蔵用に大型のバナジウム系レドックス・フロー電池をはじめ、Ni水素2次電池用の多孔質集電体やLiイオン2次電池用タブリードなどの電池部材を手掛けてきた。こうした中、電動車両や定置用蓄電システムに向けた2次電池市場が拡大しつつあり、Liなどの資源面で制約を受ける可能性があるLiイオン2次電池を代替できる電池として、Naイオン2次電池を開発した。

 開発したNaイオン2次電池は、資源が豊富なNaを正負極の活物質に用いる上、負極の集電体にCu箔ではなくAl箔を使用できることから、Liイオン2次電池よりもコストを低減できるとみる。住友電工では、本格的に量産できれば「1kWh当たり2万円を実現可能」(同社 エレクトロニクス・材料研究所 金属無機材料技術研究部 電気化学グループ グループ長の稲澤信二氏)という。

『日経エレクトロニクス』2011年4月18日号より一部掲載

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