今回は、木製洋家具を開発・製造・販売する冨士ファニチア(本社徳島県・板野町)の工場を舞台に、生産リードタイム削減のポイントを学ぶ。

 2011年2月中旬、山田日登志氏は同社の工場に初めて足を踏み入れた。山田氏は、引き取り生産の考え方に基づいて、指導先工場では必ず工程を逆に、すなわち出荷工程から順に見て回る。今回もその流儀に従い、出荷製品を梱包する「梱包工程」から訪れた。

 梱包工程にあったのは、出荷に合わせて何が何個必要かを運送会社別に表示した「梱包進捗管理板」だった。

「これではあかんねぇ」

 山田氏がうなる。この管理板を見れば、どの運送会社のトラックに何を載せるかはすぐ分かる。しかし、それは梱包担当者にしか分からない。トラック便に間に合うように必要なものをそろえるには、その前工程である「クッション/カバーの張り」や「木枠の組み立て」の担当者も、出荷を把握しておく必要があった。ここで山田氏が提案したカイゼン策とは?

〔以下、日経ものづくり2011年4月号に掲載〕

山田日登志(やまだ・ひとし)
トヨタ生産方式を270社に導入した経験を持つコンサルタント。岐阜県生産性本部在籍中に大野耐一氏と出会い、1971年から師事。1978年にカイゼン・リーダーを育成するPEC産業教育センターを設立し、所長に就任。ソニーを指導中にセル生産の基礎を築いた。