顧客を電話で長時間待たせる。話がきちんと伝わらない。要求したものと違う製品やサービスを提供する──。かつて、こうしたひどい顧客対応をする中国企業は珍しくありませんでした。顧客志向という考えからは程遠く、手っ取り早く儲けさえすればよいといった安易な考えの企業が多かったのでしょう。
今の中国企業も変わらないと思っている日本の技術者は多いのではないでしょうか。確かに、以前と変わらずひどい顧客対応をする中国企業もありますが、数年前に比べると中国企業の顧客対応の質は、格段に向上しています。特に、成長が目立つ中国企業ほど顧客対応に優れているといった印象を受けます。
翻って、最近の日本企業はどうでしょうか。ほとんどの日本企業は社是に顧客志向を掲げています。かゆいところに手が届くきめの細かいサポート、懇切丁寧な説明、そしておもてなしの心。これらは日本企業の美徳であり、強みでもあったはずです。ところが、ここ最近はコスト削減の名の下に、効率一辺倒の考えが幅を利かせ、いつの間にか顧客対応の質が低くなってはいないでしょうか。
〔以下、日経ものづくり2011年4月号に掲載〕
技術者・海外進出コンサルタント