【強さの秘密】水冷ヒートシンクや熱交換ユニットなど、高熱伝導率という銅の特性を生かした製品を製造する。市場規模の小さい銅加工にあえて特化し、熟練技による確実なものづくりで市場の信頼を得た。受注生産と並行して規格品もそろえて顧客開拓にも努めている。

 高木製作所は銅加工をベースに、水冷ヒートシンクや温度差冷却装置(ペルチェユニット)、熱発電装置(ゼーベックユニット)などの熱交換関連製品を製造している。主力製品は売上高の約6割を占める銅製の水冷ヒートシンクだ。

 パソコンのCPUをはじめとする半導体の発する熱を吸収して、熱暴走と呼ぶ状態に陥らないようにするための機器がヒートシンクである。パソコンなどの小型の電子機器には、主にアルミニウム(Al)合金製の空冷ヒートシンクが使用される。しかし、安定した稼働が求められる産業用機器の半導体ユニットなどを冷却するには空冷のAl合金では能力が足りないため、水冷式のヒートシンクが使用される。

 同社が得意とするのは、水冷式ヒートシンクの中でも熱伝導性に優れ、水に触れてもさびにくい銅製の水冷ヒートシンク。銅の平板をマシニングセンタ(MC)で切削加工するため、押し出し成形などで造るAl合金製に比べるとコストは高いが冷却性能と寸法精度に優れることから、半導体製造装置やレーザ装置、医療機器などに多数採用されている。

〔以下、日経ものづくり2011年4月号に掲載〕