【強さの秘密】2次電池の評価装置を柱に、電池パックの開発/設計/製造、2次電池の受託評価サービスを手掛ける。2次電池の開発から品質管理までを一貫して扱う中で培ったノウハウを武器に、商品開発研究用の充放電評価装置で国内シェアの60%以上を握る。

 東洋システムが現在、最重点分野と位置付けるのが、ハイブリッド車(HEV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)に搭載するリチウム(Li)イオン2次電池向けの評価装置「TOSCAT-3200」だ(図)。自動車の電動化という追い風を受けて、販売はすこぶる好調という。

 その評価装置は、(1)600Aまでのハイレート充放電電流出力、(2)5msのパルス立ち上がり/立ち下り時間、(3)0.1%以下の充放電電流の精度・安定度、(4)CAN通信による電池パックとの通信、(5)10ms以下の高速サンプリングレート、といった性能や機能を持つ。ただし(1)~(5)自体は、競合他社の評価装置と比べて仕様上の大きな違いはない。同社の評価装置の特徴は、こうした仕様には表れにくいところ、使ってみないと分からないところにあるのだ。それが、「再現性の高さ」であり「精度の高さ」である。

 こんな話がある。あるユーザーが東洋システムを含む3社の評価装置を使った。すると、東洋システム以外の大手メーカーの評価装置で取ったデータは何かとバラついた。そのユーザーが、電池のせいなのか電池の材料のせいなのか、はたまた組み付け方のせいなのかといろいろ調べた結果、電池自体には問題がないことが判明した。東洋システムの評価装置で取ったデータは他の2社の評価装置と違って、バラつくことなく再現性に優れていたからだ。このユーザーが結論にたどり着くまでに、実に数年の歳月を費やしたという。

〔以下、日経ものづくり2011年4月号に掲載〕

図●自動車用Liイオン2次電池向けの「TOSCAT-3200」の1号機