東日本大震災によって、東京電力の福島第一原子力発電所で大事故が発生した。運転中だった1号機と3号機では水素爆発によって建屋などが大きく壊れ、2号機では圧力抑制室が損傷したとみられている。定期点検中だった4~6号機にも事故は連鎖した。2度の火災で建屋に大きな穴が開いた4号機、建屋を維持する5号機と6号機の全てで使用済み燃料プールへの給水が停止し、深刻な事態を招いたのだ。

 原子力発電の問題に詳しい物理学者・技術評論家の桜井淳氏は以前から、原子力発電本体の冷却機能が麻痺したときのバックアップ電源となる、非常用ディーゼル発電機の設置の仕方に疑問を呈し、不測の事態に機能を果たさない恐れがあると警鐘を鳴らしてきた。その桜井氏が、2011年3月16日までの情報を基に、今回の事故を緊急分析する。

〔以下、日経ものづくり2011年4月号に掲載〕