「長年,3D技術の製品化に取り組んできた答えだ」──。任天堂 代表取締役社長の岩田聡氏が,高らかに宣言してから8カ月。携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」が,2011年2月26日に発売された。「裸眼での3D映像表示に向け,どういった技術を盛り込んだのか。3DSを分解し,その実現技術を分析した。

 任天堂は2011年2月26日,裸眼での3次元(3D)映像表示に対応した携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を国内で発売した。ゲーム雑誌を出版するエンターブレインによると,販売台数は2日間で37万1326台という。2011年3月末までに全世界で400万台という強気な販売目標の達成に向け,順調なスタートを切ったといえそうだ。

 3DSの最大の特徴は,3Dをこれ1台で楽しめるような工夫が随所に盛り込まれていることだ。3D映像を表示できる画面だけでなく,3D映像の撮影用カメラを備える。3D対応のゲームや映像コンテンツの配信など,ソフトウエアの拡充にも余念がない。操作性を高めるため,新たに360度のアナログ入力装置や角速度センサ,加速度センサなども搭載する。

 従来機種である「ニンテンドーDS/DS Lite/DSi/DSi LL」に比べて,多くの機能が強化された3DS。その設計思想を探るため,エレクトロニクス関連の技術者の協力を仰ぎながら3DSの分解・分析を試みた。そこで見えてきたのは「長年,ゲームに3D映像を取り入れる可能性を追求してきた」(任天堂 代表取締役社長の岩田聡氏)という同社の強いこだわりだった。

『日経エレクトロニクス』2011年3月21日号より一部掲載

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