欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 ここ数年に世界の自動車産業が経験した経済的な混乱にもかかわらず、嵐の中で穏やかな航海をしてきたように見える自動車メーカーがある。ドイツAudi社である。
 10年前、Audi社の製品ラインアップは「A2」から「A8」まで「TT」を含む17車種に過ぎなかった。それが2010年末の時点では、都市向けの小型3ドアハッチバック車「A1」からSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)、ミッドシップ・スポーツカーまで、モデルラインアップは2倍以上の36車種に増加した。そして、同社の商品開発プログラムは、なお衰えを知らない。

以下、『日経Automotive Technology』2011年3月号に掲載