米国で商用車の電気自動車(EV)ビジネスが拡大しつつある。「米国再生・再投資法」におけるDOE(米エネルギ省)の補助金によってEVトラックの開発が進んでいるほか、米Ford Motor社が小型EVバンを発売した。また、ベンチャー企業も小型の商用EVを開発している。

 米国はトラックやバンのEV化に積極的だ(図)。2009年にObama政権は総額7872億米ドル(日本円で約65兆円)以上に及ぶ経済対策「米国再生・再投資法(ARRA:American Recovery and Reinvestment Act)」を承認した。このARRAで、DOE(米エネルギ省)は「Transportation Electrification Demonstration Program」として電動車両の開発およびデモンストレーションに対して補助金を交付。乗用車と商用車におけるプラグインハイブリッド車(PHEV)および電気自動車(EV)の普及を支援している。

Smith社やNavistar社が商品化

 ARRAのプログラムのうち、乗用車では米GM社、Ford社、米Chrysler社などが参加している。GM社は2010年10月時点で、43台の「Chevrolet Volt」の供給と105カ所の充電ステーション設置を完了、2010年11月からVoltの発売と同時に走行データの収集を開始した。
 Ford社は、130台の「Escape PHEV」と20台の「E-450 Van PHEV」の合計150台のPHEVを開発する予定。Chrysler社は、PHEVのピックアップトラック「Dodge Ram」を開発する。搭載するLiイオン2次電池はカナダのElectrovaya社製のラミネート型。電池パックの容量は12.9kWh、車載の充電器の出力は6.6kWとした。

以下、『日経Automotive Technology』2011年3月号に掲載
図 米Smith Electric Vehicles U.S.社の中型トラック「Newton」
チェコAvia Ashok Leyland Motors社の車体をベースに電気自動車に改造。ホイールベースは3.9m、4.5m、5.1mの3種類あり、車両総質量は7.5~12t。積載量は2.8~7.5t。